2015年8月10日。
それは物語の結末が結末ではなく、
物語がまだ続いていたことを知らせる日だった。
福岡の春吉に、大好きなつけ麺店があった。
その店は、カウンターだけの小さな店で、
店主は一人、黙々とつけ麺を作る。
味は一流。僕の知っている限り、
その店のつけ麺を福岡ナンバーワンという人は多く、
順位付けをすることをあまり好むほうではない僕だが、
しかし、その高みにある、と断言できる至福の味だった。
咲きまさ。
僕はこの店が止む無く閉店してしまうことを知り、
本当に悲しかったし、その悲しみをずっと引きずって生きていた。
だから、8月10日に咲きまさが復活することを知り、
それが事実だったことを、神様のプレゼントだと心から思った。
フィルターだって、かかるに決まっている。
食べる前から美味いよ、それは。
ということで、
県内外から注目を集めた福岡のつけ麺の名店が、
なんと熊本に場所を移してオープン。
屋号は「麺屋 サキマサ」へと変わったが、
その味は健在どころか、さらに向上していた。
まず、全体の印象を決める極太麺が進化した。
関東から直接仕入れることに変化はないが、
その質がぐんと向上している。
麺だけを食べれば、うっとりする滑りの良さ。
さらに小麦の風味にとても優れていて、
全粒粉入りのその極太麺は味がきちんと存在する。
当然、濃厚魚介豚骨のつけ汁をしっかり絡めとってくれた。
つけ汁は、徹底的に煮込み、
骨の髄まで旨みを抽出した高濃度の豚骨出汁に、
サバ節などの魚介を足すことで、奥行き、そして厚みを出す。
そんなつけ汁は骨粉のざらりとした感触がワイルドな印象を与えるが、
後味にはキレがあり、すいすいと入る。
スープ割りも当たり前だが、美味い。
オペレーションがぐんと向上し、
待ち時間が大きく短縮されている点にも注目したいところ。
以前よりも一度に作れる杯数も多くなったそうで、
それは嬉しさ以外の何物でもない。
最高だ、物語はまた始まったと声を張り上げたい!
おごちそうさまでした !!!