「らぁめん満来」だったお店が、
ある日、「らぁめん 蔵持」になった。
そんな話を聞いて、とても悲しい気持ちになった。
ぼくは福岡の人間なので、「らぁめん満来」のことをあまりよく知らない。
ほんの少しの知識で申し訳ないが、
新宿で人気を博してきた老舗だということくらい。
そのことはとても良いことだと思うし、
東京の「らぁめん満来」さんにもいつか行ってみたいなと思っている。
ただ、ただ、それだけのことなんじゃないのか。
「満来」さんの味を懐かしみ、比べるの自由だ。
東京の〜とウンチクを披露してみるのも自由だ。
でも、第一に目の前にあるのは、その店そのもので、
その店のことを見れば良いし、
純粋に楽しめば良いんじゃないのかなあ。
東京の満来さんにわざわざ「あの福岡の店は姉妹店なんですか」と
問い合わせるのって行き過ぎなんじゃないかな、と。
情報集め的な食べ方って、どうなんでしょうかねえ。
結果、ご主人が気を遣ったんでしょう、
「蔵持」という名前に変わったんだから。
店の名前を変えるって大変なことだと思う。
そんなことさせる意味があったのか。
ふらりと入って、食券で「らあめん」のボタンを押し、席に着く。
厨房にはご主人とその奥様のような女性が1人。
ゆっくりと、穏やかな時間が流れていた。
注文を確かめると、ご主人はきびきびと動く。
スープを確かめ、麺を茹で、それを丁寧に湯切りして、
大きなチャーシューを持ち上げてのせ、
メンマや海苔を添えて
整った形でそれらの集合を「はいどうぞ」とカウンターに置いてくれた。
やや大きめの丼に、
透き通ったスープ越しにはっきりと見て取れるたっぷりの麺。
チャーシューなどの具材はスープに沈むことなく、
麺の上で堂々としていて、見ていて晴れやかな気分になった。
スープは醤油の角が取れていて、
ほんのり甘みを感じる滋味豊かな味わい。
油の量が控えめで、さざなみのように、
スープの旨味が口のなかで広がっていく。
麺はもっちりと弾力豊かで、噛んでいて手応えしっかり。
時折分厚いチャーシューをかじり、メンマをポリポリとやり、
一心不乱で食べ進めた。
店主はぼくが食べ終えると優しい眼差しを向けてくれた。
食券のお店って、いらっしゃいはちゃんとしているのに、
ありがとうございましたは目を見らずに言われることがあって、
どこか味気ないというごく個人的な印象があるけど
(もちろんそういう店ばかりじゃないですよ)、
なんとなくそれが嬉しくって覚えている。
いろいろ、しみじみ沁みた。
チャーシューおにぎり、おこわ?のような食感で、
これが醤油スープと実に合うんです。
ざるらあめんも美味しいんだろうなあ。
気になるので、食べに行こう。
おごちそうさまでした !!。