スペースシャトルに乗ったのかもしれない。
一つひとつが孤高のつくねは、それ一つひとつに独自の世界が存在し、
そう思えば、なんだか惑星が連なるように見えてきた。
藤崎に宇宙があった。
お店がオープンしたのは2015年。
福岡に未だかつてないつくね料理の専門店ということで、
すぐにその噂は耳に入ってきた。
それ以前は京都にお店があったという。
京都の時代のことは訪問できていないのでわからないが、
つくねに対する真摯な姿勢は一朝一夕のものではないことはすぐにわかった。
つくねというと福岡だったら焼鳥のネタを思い浮かべる。
おおよそタレ、塩によって調味されるアレだ。
ここではそんなスタンダードは存在せず、
日々、その時々の旬の食材を取り入れた創作。
写真を見てもらえるとわかるが、実にそのバラエティは豊かで、
好奇心を大いに充しつつ、
つくねにおける既成概念を見事に打ち壊してくれる。
また、つくねを引き立てる日本酒がこれまた精鋭揃いで、
こちらもまた銀河系軍団だ。
特につくねの油をやさしく流す燗酒を勧めている。
ちなみにつくねだけでない。
一品料理もくすぐるものばかり。
その日はつくねの前に、よだれ鶏のパクチー添え、
大人のポテトサラダ(里芋にヤマメのうるかを合わせて素晴らしい一品!)
などを食べてすっかり昇天した。
・・・したのだが、〆が待っている。
それが「ミツル醤油」さんの醤油を使った中華そば。
随分と前にフラクタスの成田さんがインスタにポストしていて、
それはもう大変そそるビジュアルだったので、記憶に鮮明に残っていた。
スープ、麺、ネギ、以上。
超ミニマムな一杯、しかもラーメン店という専門店でもない。
ただ、結果、これは絶対に食べておくべき一杯だった。
出汁に使うのがつくねをボイルした際に生じる旨味のエッセンス。
この具材そのものの旨味エキスに、
貝柱による魚介の旨味を合わせ、
しっかりと土台はつくりながらも、この一杯の顔はあくまで醤油。
ネギは彩りで、麺とスープで完璧に完結していた。
なるほど、つくねの店だからこその中華そばだった。
おごちそうさまでした !!!