透明度の高いスープは、
到底どの若いスープも叶わないエネルギーに満ちていて、
老練の安定感。
胃袋のずーっと奥のほうへと響く。
豚骨スープはイコール白濁というのがここ福岡の常識だが、
ここでは一般的な白濁スープよりも、
ずっと透明感があり、印象がずいぶんと異なる。
丼を俯瞰すれば、
その全容がほんのりと見て取れる。
ゆったりと泳ぐ麺、部位の異なるチャーシューがそれぞれ1枚。
パラパラと彩りを添える小ネギの存在が目を引くくらいに、
その佇まいは凪のように穏やか。
あっさり。
たしかに言葉にするとそういう表現が正しいのだけれども、
まず、すーっと口に入る。
その誘いから始まる、
舌に伝わる豚骨の明快な旨味、
そしてちょうどいい塩気、
ごくっと喉を通った後に鼻に抜ける香りの一連は、
あっさりという言葉には、
つまり上品、優雅という意味が込められているんじゃなかろうか、
きっとそうで、あっさりと言い切ってしまいたくなくなって、
こうやって文章にするとあれやこれやと、
思いの丈を綴りたくなってしまう。
その見た目よりもずっと深い極上の液体は、
とてもやさしい表情なのに記憶に強く残る。
麺の茹で具合も文句無し。
固すぎず、やわらかすぎず、
ニュートラルな状態だった。
それぞれが誇張しすぎないスープ、そして麺。
丼の中のすべてで一杯のラーメンなんだろうな。
そして焼き海苔のシーズンだったので。
後半にスープに浸して食べてみたり、
おにぎりに巻いてみたり、もちろんそのままでも食べてみたり。
この磯の風味が溶け込んだスープも格別。
おごちそうさまでした !!!