「原点の日」に立ち会わせていただきました。
原点の日とは、総店主の河原成美さんが朝の仕込みから夜の片付けまでの時間を
社員さんたちと共に過ごすことで、
全員が「原点」を思い起こし、立ち返るための一日です。
一風堂さんの社内的な行事なのか? 答えはノー。
僕たちのようなお客にとっても、得るものがたくさんあります。
河原さんが厨房に入るだけで、同じ店なのに、まるで別の店のように、
気のようなものが満ちあふれます。
それは言葉では言い表しにくいのですが、
なんとなく背筋が伸び、声がちょっと大きくなり、いつもよりも食欲が増す。
その場にいるだけで元気になれる。これ、本当にそうなんです。
そんな体験ができるなんて滅多にありません。
19時すぎの来店でした。
僕は河原さんの目の前に座ることができました。
目があった瞬間、ニッと笑顔を向けてくれる。
「元気にやっとうか」「少し太ったようやな」
「今日のラーメンは旨いか」
「こんなお祭りのような1日もたまにはよかろうが」
茹で釜の前で麺をあげながら、隙を見ては話しかけてくださる。
いろいろあり、僕は正直、今日、河原さんの目の前に座るのが怖かった。
でも目の前にいる河原さんは一人のラーメン職人で、
それもとびっきり腕の良い一流の職人でした。
もう開店から何時間も経っているはずなのに、
オーダーが入ると誰よりも早く動き、とにかく周りに気を張り巡らせる。
所作に一切のムダはなく、ぼーっと見とれていました。
「最高に旨かったです。ごちそうさまでした。がんばります」と伝えると、
ひと言、声をかけてくださった。涙が出るほど嬉しかった。
別格の存在であり、心から尊敬できる人物。
こうしてご縁ができたこと、ご縁をつくっていただいたこと、
本当に嬉しく、ありがたく思いました。
これから益々がんばろう。僕にとっても原点の日です。
おごちそうさまでした !!!