半分正解で、半分は間違っていた。
「美味しいうどん屋があるんですよ。行きましょうか」
初めてこの店を訪れたのは、かれこれ十数年前。
ライターになりたてだった頃、
ご一緒させてもらったモータージャーナリストの方が、
この付近で取材があった際に冒頭のように教えてくれ、
取材班全員で訪れた。
店に着いてみると、看板には「うどん屋」と書かれている。
おお、ここかその店かと理解し、中に入る。
それほど広くないカウンターと、少し広めの小上がり。
家族やグループで訪れ、みんなで和気藹々とうどんを啜る。
ぼくらはテーブル席に座って、各々に好きなうどんを注文。
かしわおにぎりがとっても美味しいから、
それは必ず食べるようにと念を押され、全員がオーダーした。
うどんはつゆがいい。
なんでも目の前にあるAコープという生協が手がけているらしく、
そう言われるとつゆがとっても贅沢な気がして、
それは豊かな出汁の旨味が凝縮しているという意味で、
とても好印象だった。
確かに抜群にかしわおにぎりが美味い。
かしわめしを構成する要素を分解して、
かしわの旨味、味付け、米の硬さ、握り方、具材のバランス、脂っ気、
キリがないけど、それらの要素がハイアベレージで、
きっとかしわ飯を愛して止まない福岡県民の9割以上が
「ああ、おいしいね」と言うに違いないだろうと思わせる貫禄の味。
満足度は目一杯高く、また来たいと思った。
その方に「ここって何ていうお店なんですか」と尋ねると、
「だから、うどん屋だよ」と言う。
店の名前自体が「うどん屋」だったんだ。
なんかそのことがとてもおかしくって、
さらにこの店のことが好きになった。
つい先日、2、3年ぶりに仕事の合間にこの店に寄れて、
ごぼう天うどんとかしわおにぎりを食べた。
やっぱり不変のマスターピース。うどん屋、最高だ。
「かしわおにぎりがとっても美味しいから、それは必ず食べるように」。
今ではぼくも、そう念を押している。
おごちそうさまでした !!!