名古屋名物は多種多彩。とりわけ麺のバラエティには目を丸くする。
やはり福岡に暮らすぼくにとって、大都会である名古屋。
人が多く集まることは、すなわち多様な考えや感覚が集まるってことで、
麺にはそんな多角的な要素、そして名古屋らしい独自のカルチャーがミックスされ、
ほかにない麺文化を育まれているように感じた。
ラーメンだけでもめくるめくバリエーション。
この記事で紹介する台湾ラーメンを筆頭に、スガキヤという地元の強力なチェーン店、
暖簾分け含め名古屋市内外に10店舗以上が存在するという好来系ラーメン、
名古屋市中村区には局地的に卵とじラーメンを出している店があってそれがソウルフードらしく、
ベトコンラーメンというその名前を聞いただけでピンとこない一品まで。
うどんもすごい。味噌煮込みうどん、カレーうどん(豊橋カレーうどん)、きしめんだってある。
そのほか、あんかけスパゲティ、瀬戸焼そば、台湾まぜそば、
もしかしたらまだあるかもしれないが、
パッと思い出しただけでもこの顔ぶれ。超個性的だ。
そしてその振り幅にため息が出る。
1日、2日では到底、堪能し尽くせない麺の沼。それが名古屋。
本店を詣でたかったが、台風の日だったこともあり、叶わず、
個人的思い出もある矢場町のこちらで台湾ラーメンを食べることになった。
味仙といえば、台湾ラーメンの元祖。
そもそもなんで名古屋なのに、台湾ラーメン?という疑問は、
ぼくが解説するのもアレなので、こちらからどうぞ。
心底感心するのが、この味仙の台湾ラーメンは、
地元で大変愛されているという点だ。
観光的に人気を集めている店には、実際、地元の人々は行っていない、
ということをよく耳にする。
ところが、こちらは開店するや地元っ子が待ってましたと来店し、
大きなテーブルを囲んで団欒の様子を見せてくれて、
その光景がとても良いなと思えた。
いろいろと店舗展開しているのは、需要があるから。
この街に必要とされている感じが伝わってきた。
ほぼ?初めてという本場名古屋での台湾ラーメン。
味仙では初めてということで、今回ありがたい話をいただき、
お仕事にて食べに来させてもらったので、
せっかくならばといろんな麺を堪能させていただいた。
看板メニューの台湾ラーメンは、一口スープを吸って、
大方の予想どうり、しっかりとむせた。
そうなると分かっていたよ、だって、表面が真っ赤なんだもの。
強力な磁力に動かされたかのように、レンゲを持つ手が口元へ。
なんだろう、この衝動を抑えられなくなる感じ。
居ても立ってもいられない、というスピード感ではない。
地球が黙っていてもじわりと自転するように、
じわりと、欲望を根底から動かすような魅力がこのビジュアルには、ある。
まあまあ辛さに強いと思っていたぼくの自信をハンマーでかち割るような、
突き抜ける刺激。脳に響き渡る衝撃。
鳥肌が立ち、やがて開いた毛穴から汗が滲む。
ああ、ちょっと気が遠くなりそうと思ったら、
むくりと立つスープ本来のうまさがこっち側に戻してくれる。
やがて、すっかり止まらないバーサーカー状態。
その後も、度々咳き込み、時折、鼻水を啜り上げ、
額を伝って目に入る汗を拭いというように、
ありとあらゆる障害が邪魔してくるが、
もう誰も制することはできない。
アメリカンは、それはもう、本当によくできたピリ辛のラーメン。
醤油の旨味がきちっと立っていて、それを引き立てるピリ辛の味付け、
スープの透明感にもうっとりさせる美しさがあるし、
最後まで美味しく完食できる一杯だった。
だったのだが、心は嘘をつけない。
台湾ラーメンのあのサディスティックな味わいを、忘れていないのだ。
台湾ラーメン、そしてアメリカンの二杯を連続で食べ、
結果、台湾ラーメンの偉大さを実感した。
アサリがたっぷり入った味仙ラーメン、
そしてメニューには表記されていない?というホルモンラーメン、
いずれも圧倒的な完成度で目眩がした。
やっぱり土台が良いんだろうなあ。
この2品のこともとことん掘り下げてかけるくらいの名作で、
ぜひともまた味わいたい!が、、台湾ラーメンが、きっとそうさせてくれない予感大。
おごちそうさまでした !!!