どえらい場所に来たな。
店に入った瞬間、そう思った。
カウンターに目をやると、まな板と包丁がずらりと並ぶ。
なんとも言えない光景だ。
そして、テーブルを見ると、昼間っから飲む人々。
「みやさん食堂」に立ち寄ったのは土曜だったが、
14時くらいで、テーブルのお客はかなりできあがっている。
ああ、もう最高な予感しかない。
そもそもこの店を知ったのは、
「塩田屋」の大将に「広島のでんがくうどん、食べたことありますか?」と聞かれたからだ。
「いや、ありません」と答えると、
それは絶対に食べに行ったほうがいいからといって、
おすすめの店の名前を教えてくれた。
大将はホルモンの天ぷらも名物であること、
それは自分で包丁を使って切って食べるスタイルであることも添えてくれていたが、
まさか、いやいや、カウンターにこうやって置かれているとは思わなかった。
これはすっごく楽しい。
車で訪れてしまったので飲めない。
が、天ぷらは味わってみたかったので遠慮がちにオーダー。
一見、ぶっきらぼうなお母さんは、
初来店のぼくに店のシステムを教えてくれ、
天ぷらの注文にも気さくに応じてくれた。
「お酒と合わせるといっそう美味しいから、
次は飲みにきんさいね」(広島弁あってるかな?確かこんな感じだったかと)
話していくうちにわかった、すごく良い人だ。
絶対に飲み来ますよ、本当に。
そうこうしていると天ぷらが皿で渡された。
教えられたとおりに、これを包丁でカット。
そして酢醤油に唐辛子入れてスタンバイオッケー。
適度な大きさに切って、タレにつけて食べる。
衣の絶妙な厚みが、センマイのふっくら感を引き立てる。
サクッと、ムニッと、ホルモンの天ぷらって福岡では全然文化にないけど、
モーレツに美味い。そして安い。
野菜もモツも100円なんだからどんどんいっちゃう。
そりゃあ、こんな楽園があったら昼からホイホイ出掛けちゃうわ。
ちなみにお酒は女将さんに一声かけてからセルフで冷蔵庫から取るんだそう。
そして自己申告制なんだとか。いいねえ、そのゆるさ。
お目当てのでんがくうどん。
でんがくというのは正しくは「田楽汁」というようで、
塩味のスープでモツを煮込んだ料理のことみたい。
そして、そのでんがくにうどんの麺を入れたもの。
これがでんがくうどん。
こうして書いてみるとすごく単純明快な一品だが、
やってきたそれは、どワイルドで、どインパクト。
モツがたっぷりすぎて、え、これ450円だよねと狼狽えた。
酒飲みのために用意されたでんがくを〆にアレンジした一杯のため、
汁はほどほど塩気がある。そしてモツの旨味がしっかり。
これは相当な個性派だ。
ちなみに、しっかり下処理されているからだろう、
脂っ気はなくドギドギしていない。
モツは鮮度が良いみたいで、プリッと、それでいてやわらか。
かなり大ぶりにカットしてあるのに、それでも食べやすい。
天ぷら同様、唐辛子入れると、これがよく合う。
ああ、飲みたい、うう、飲みたい。
心の中でうわごとのように繰り返した。
おごちそうさまでした !!!