これまで「げんこつ」に行けなかった理由はたった一つ。
近くに「ふくちゃんラーメン」があるからだ。
二つの店の距離は、車だと多分1、2分くらい。
昔っからふくちゃんが大好きな自分にとって、
そしてこの早良区にやや離れた場所に住む者にとって、
ここまで足を運ぶ=ふくちゃんラーメンに行く、
そんなイコールが成り立っていた。
だから、他に目もくれていなかったのだ。
猛省。もう本当にその一言に尽きる。
こんな好みのラーメンに出会えるなんて。
特に飲食店が集まっているわけでもなく、
車通りが活発かというとそういうわけでもない、
そんな普通の場所に「げんこつ」は静かにたたずんでいた。
オープンから10年以上が経ち、
その面持ちは浅黒いサーファーのように、
よい感じにこなれていて、テンションが静かにあがった。
寡黙そうな職人肌の店主、
そしてフレンドリーで憎めないキャラのスタッフさん。
一見すると相反してそうに見える二人が、
ちょうど良い具合の心地よさを生み出している。
腕組みでポージング、
いらっしゃーい!と力強く声をかけられるような、
いわゆるラーメン店っぽい雰囲気が、ここにはない。
店主は有名店をはじめ、何軒ものラーメン店で、
修業を積んできたのだという。
その結果生まれたのが、現在の味。
化学調味料の類いは一切使っていないという。
ぼくは無化調崇拝主義ではないので、
そこだけを切り取って賞賛することはないんだけど、
このスープのズドンとくるコク、
竜巻のように口の中へとねじ込まれていくような奥行きのある旨み、
脂っ気に頼らないマットな質感、
これらが純粋に大絶賛したいほど好みで、
その上、いわゆる無化調の特徴ともいえるキレの良さが
しっかりと余韻に残るもんだから、もう、たまらない。
実は麺にも大変な思い入れがあるそうで、
特注で製麺所に作ってもらっているのだという。
細ストレートのそれは、とても滑りがよく、
麺そのものの味もしっかり表現されていた。
セットものも大変お得なので、
そちらの恩恵にも次はあずかってみたい。
おごちそうさまでした !!!