北九州で勢いがあるラーメン店といえば、ここの名前が真っ先に挙がる。
もちろん、この北九州は東洋軒、魁龍というように老舗の実力派が多いラーメン激戦区。
なかなかその中にニューフェイスが食い込むのは難しい。
それをやってのけたのが、この「石田一龍 本店」だ。
店主の新森さんは父の跡を継ぎ、ラーメン店を営むことになった。
ただ、その味をそっくり引き継いだわけではないそうだ。
現在の味に行き着くまでには試行錯誤があり、
その過程においても自身の勘を頼りとし、
独学によって完成させたのだという。
ラーメンは大きく2種あり、
名前そのままの「濃厚」、
そしてあっさりスープの「屋台」が二本柱となっている。
この2つのラーメンを引っさげ、
新森さんは北九州のラーメンシーンに一石を投じた。
目指したのは濃厚でありながら後味がよく、
その時に満足するだけでなく、「また食べたい」と思えるような、
そんな欲求が静かに膨れ上がっていく一杯。
せっかくならば、とことん酔いしれたいと思い、
この日は濃厚を選んだ。
まずインパクトが鮮明。
「濃厚」と「屋台」ではスープの炊き時間はもちろん、
炊き方そのものも変えているといい、
この濃厚は、思いっきり豚骨の旨味が抽出されていて、
骨の髄からひねり出したような、力技のコクを感じた。
とはいえ、雑味はなく、口当たりが滑らか。
なんでもスープ釜の中の骨をまぜる際に、
骨が崩れないようにそーっとやさしく炊くそうだ。
強面なのに、実はやさしい。ギャップだなあ、惚れるなあ。
とろんと濃密なスープに合わせた
しなやかで、歯切れの良い細ストレートも効いている。
スルッと収まりがよくって、替え玉必至。
チャーシューは提供前に炙っていた。
香ばしくって、絶妙な厚みとしっとり感が、
麺、スープとフィットしている。
次は屋台食べたいけど、濃厚の面影を忘れることができるんだろうか。
おごちそうさまでした !!。