平静を装っていたのだけれど、
大将を見てついつい涙ぐんでしまった。
また、こうやって食べられたのが、心から嬉しい。
「うどんのはなし」にどうしても掲載したく、
責了の一週間前というギリギリまで粘った。
残念ながらリミットまでに大将の怪我は治らなかったけど、
大切なことを教えてもらえた。
この日の麺は躍動し、出汁は穏やか。
このバランスが惹きつける。
文句なし、大好きだ。以下、「うどんのはなし」あとがき より一部抜粋。7月某日、発行日から逆算するとかなりギリギリの
タイミングでこのあとがきは書かれています。
厳密に言うとすでに叩き台はできていたんですが、
予測していなかった出来事があって書き直しているのです。
実は本書で紹介できなかったお店があります。
博多駅南の「葉隠(はがくれ)うどん」です。
好きな理由を書き出すとページがすぐに埋まってしまうので割愛しますが、
店頭の張り紙によると店主がケガをされたようで、
ここ数ヶ月、店は閉まっています。
取材交渉できなかったのが心残りでなりません。
ただ、この出来事があったおかげで、気付いたことがありました。
「ひょっとしたら、100%の完成なんてないんじゃないか」。
書けば書くほど、食べれば食べるほど、
どんどん欲が出て、キリがありません。
取材期間中、いろんな方々がとっておきのお店を教えてくれました。
一冊書いたから終わりではなく、
例えば、紹介したお店を応援していくこと、次の世代に語れるように学び、
そして知ること、店主のみなさんが教えてくれた
「続けることが難しい」という、まさに“続けること”に取り組んでいきます。
おごちそうさまでした !!!