店主の田中さんとはかれこれ10年以上の付き合いになる。
まだ宗像に住んでいた頃、その当時、赤間駅前にあったお店によく通っていた。
四川飯店で10年にわたって修業を積んだ田中さんだから、
その味は文句なしで、本当に地元・宗像でこんなにおいしい四川料理が楽しめるなんて、
来店する度にそう思っていた。
時間が経って、ぼくは福岡市で暮らすようになって、
実家に帰る場合にもちょっと立ち寄るくらいなもので、
武遊さんにも足が遠のいてしまった。
その後、再び宗像のお隣、福津で暮らすようになって、
1年くらいが経った際、ふいに思い出し、
ああ、武遊さんに行こう!と思って出掛けると、
別のお店になっていて、面影すら残ってなかった。
ひどく悲しい気分になった。
思い出されるのは、狂ったように食べていた汁なし担々麺。
残念だが、仕方ない。
ネットで調べてみようという考えすら浮かばないくらいに落ち込んで、
再会はもうないのかもしれないと諦めた。
ホワイトヘアーブッダが言っていた、諦めたらそれで試合終了だ、と。
それからさらに1年が経って、ある日、なんとなく、
武遊のことをネットで検索してみたら、
なんと、割と近くのJR遠賀川駅の付近に移転しているじゃないか。
店に入ると、お久しぶりです、という言葉よりも先に、
お互いに、ニカッと笑顔が出る。
それから言葉を交わし、あっという間に時間がまた流れ出した。
食べたのは、もちろん汁なし担々麺。
花椒によるスーッとくる痺れ、ラー油のピリッとくる感じ、
コクがドライブして、疾走感、どんどん箸を持つ手が動く。
甘辛く味付けした高菜炒めのようなものが、
この汁なし担々麺の特徴で、これが健在。
混ぜれば混ぜるほどに、良い。
麺の奥底まで、辛味、旨味、刺激が行き渡る気がする。
やっぱりガツンときて、グッときて、最高だった。
肉味噌あんかけチャーハンもオーダーした。
肉味噌って肉が入った味噌のことだが、
それが本当に両輪となっている感じ。
お茶を濁すような量ではなく、
しっかりと肉が肉味噌の舵を切っている。
そして味噌のまろやかさ。
火入れ軽やかなチャーハンに、ベストマッチなコクをもたらし、
吸い込むように食らった。
ぼくはここの麻婆豆腐がおいしいことを知っている。
また来るしかないし、JR沿線であるならば、
痛飲上等、バルを体験するしかない。
おごちそうさまでした !!。