鹿児島らしさ——— それが何かと聞かれたら、
福岡県民のぼくは上手く説明できないけれど、
第一印象ということでいえば、おおらかさのような気がしている。
敬愛する岡本仁さんの著作の合わせ技みたいになってしまってとても恐縮だが、
そう感じてしまったのだからしょうがないし、
取材で何度か訪れているが、本当に快く受け入れてくれて、
毎度、気持ち良い時間を過ごさせてもらっている。
この「隼人」は、まさにおおらかさだ。
黒さつま鶏の出汁をベースにしているというスープは、
中の麺の形状がかすかにわかる程度に透過性があり、
なんだかとても慎ましやか。
ぼくが福岡県民であるがゆえにごぼう天に反応。
ラーメンのトッピングとしては珍しいと思う。
鹿児島ラーメンという枠にしばられない自由さを、
二種のチャーシューの存在感からも十二分に体感できた。
葱油の香ばしさ、そして玉ねぎの甘くてしゃっくしゃくの食感。
重なり合う食材、旨み、風味。
その掛け合い、グーッド ウィドゥム!
中細のややウェーブがかった全粒粉入り麺にも個性が光る。
食べてみるとしっかり鹿児島ラーメンなのだと舌は感じるのに、
頭に残るのは新鮮、新風の印象。
とてもインパクトがある一杯だと思うのに、
なんともいえないどっしり感。ああ、楽しい。
やはり、おおらかさなんだと感じた。
カウンターだけという店の造りも好印象だし、
何より鹿児島中央駅から近い。
ビールがあれば、極上のチャーシューで一杯ひっかけたいところだが、
あくまでラーメンを食べさせる店としての存在であり、
その考えが好きなのでわがままは言わない。
このままであってほしい、心から。
おごちそうさまでした !!!