地元の人でなければ、まず通らないような、六本松のメインストリートから一歩入った場所に店はある。
その店構えは一般的なラーメン店らしいそれと違っていた。
つまり、赤い暖簾に提灯、黄色か白の文字で店名を示すような感じではない。
ファサードには目隠し用のルーバーが取り付けてあり、広く取られた入口のガラス扉越しに、
室内から淡い光が漏れている。
日も暮れ、夜が深まり出してきた頃合いの街並みに、実によい雰囲気でここに佇んでいた。
店に入ると、まず食券を購入する。麺のメニューはラーメンを筆頭に、チャンポンや皿うどんがあった。
なんとなく長崎らしさを感じるラインナップで、それもそのはず、この店のルーツは長崎にあり。
創業50年以上の長崎県西海市にある「大島ラーメン あづまや」。
その店のご主人の息子さんがこの福岡にやってきて、こうして開業したそうだ。
やはりラーメン店なので、ほかの麺が気になりつつも、選んだのはラーメン。
スープはやや黄みがかっていて、元ダレ先行かと思ったら、
飲んでみるとまろやかな鶏ガラの旨味が舌に伝わる。
鶏特有の甘さの奥に感じる力強さは豚骨のようで、
そのバランスは感覚的に鶏ガラ5:豚骨5。
鶏ガラの印象は結構強いが、ただし、土台がどっしりしていて、
なんとなくなんだけど、スープを飲み進めていくうちに、豚骨感が強くなっていった。
スープに脂っ気はそれほどなく、ほどほどマットな質感。
そして、そのスープによく絡むのが、自家製だという細平打ちの麺。
これがとっても口へと収まりがいい。
麺がやや短めということもあるが、茹で具合もちょうどよくって、
口の中でもたつかない。
良い麺だなあと思って、帰り際に店主に伝えると、
なんでも製麺所がもともとのルーツなんだそう。
麺のことを褒められてはにかむ姿が微笑ましくって、
若大将を応援したくなった。
おごちそうさまでした !!。