すごいものを食べた。
何で人は感動したら立って、拍手したくなるんだろう。
本能なのか。
細胞がそうさせるかのように、お会計で立ち上がった瞬間に
スタンディングオベーションしたくなった。
肉うどん、のような中華そば。だから、肉宇宙。
この一杯は、本当に宇宙のように近くに見えて遠く、そして彼方。
うどんのような厚みのある平打ちの太麺は、
キツネにつままれたかのように、毅然と中華麺。
化かされてなるものかと噛めば噛むほど迷宮入りする。
鼻を抜けるのは一向に紛れもなく中華麺の香りなんだから、
顔がニタニタし過ぎて顎が痛いが、
これは麺のコシによるものかとまた破顔一笑。
出汁が美味い。真昆布を土台に煮干し、
鯛干しによる旨味が合わさった巨大なうねりは、
山田一人をごくりと飲み込む。
その勢い凄まじく、ただそれでもやはり麺の風味が際立つ。
替玉をすると細麺が提供される。
はたと気付く。細麺で食べるとやはり中華そばなのだ。
現実に戻って夢見心地でズビズバとその麺を啜る。
確かに細麺の滑らかな食感もまた快楽だが、
思い出されるのは、やはりあの太さ、そして小麦の香り。
奥歯に残るあの感触を、鼻元に残る芳香を、
また求め、次も肉宇宙というブラックホールに吸い込まれる。
おごちそうさまでした !!!