「日田焼きそば」と出会ったのはかれこれ10数年前のこと。
焼きそばっていうと、特にぼくは製麺屋のせがれということもあるが、
食べたいと望めばいつでも食べられる境遇だったため、
それこそ“家で食べる料理”、
つまりはお金を出してまで食べたいとは思わない存在だった。
だから、焼きそばが郷土料理と聞いて本当に衝撃的だったし、
そんな特別な焼きそばがあるんだと驚いた。
そして、ご対面してその驚きは倍以上に膨れ上がった。
だって、これまで出会ってきたどのタイプにも属さない焼きそばだったから。
焼きそばといえば、湯でおきの麺をさっと炒めるタイプ、
こだわっている店は生麺の状態から麺を茹で上げ、
それを調理してくれるというタイプ、
と2つに分かれるくらいだと思っていた。
具材の増減、肉が多めだとか、野菜が多いだとか、
それくらいの違いなんだろうと。
あの頃のぼくは井の中の蛙だ。
日田焼きそばの最大の特徴は麺のパリッと感。
そして、ほぼモヤシだけという潔さ。
これらはウィキで調べればすぐに出てくる情報なので、
あえて多くは語らない。
でも、少しだけ感動を伝えるなら、
「パリパリとした香ばしい麺をほおばれば、
芯の部分はもっちりとやわらかく、
食感がとても表情豊かだし、
そしてモヤシのシャキシャキ感といったら!」
というくらいは発熱させていただこうと思う。
それはさておき、最も感動したのが、
「焼きそば」は「焼きそば」じゃないっていう店主の言葉だった。
何のことかわからないって?
ぼくも店主からそう言われた時、そう思った。
ただ、店主はそんな戸惑うぼくを一向に気にせず、こう続けた。
「日田の焼きそばって、まず麺を鉄板の上にバッと広げて、
そのまま放置するんですよ。
こうしていると鉄板の熱で麺の水分が飛ぶでしょ。
麺から出た水分によって鉄板に面した部分の麺が
いわゆる蒸された状態になるんです。
そして頃合で麺に油を回します。
そうすると揚げている状況が生まれますよね。
最後にモヤシを投入して焼き上げていくわけですから、
一口に焼きそばだともいえない総合麺料理なんですよ。
実は三段階の工程を経ているんです」
上記の語りは記憶をさかのぼってぼくが再現しているので、
ちょっとニュアンスは違うかもしれないが、
焼きそばは、焼きそばじゃなかった。
日田焼きそば、奥が深いって、心底感心した。
この三隈飯店ではスープ付きで楽しめる。
このスープがラーメンに使うもので、
なんだかとっても得した気分になる。
そしてご飯とのセットもあり、
焼きそば×ご飯って最高だと膝打ち必至。
そう、チャーシューめしも大変美味しく、
やっぱり根っこはラーメン店なんだなとしみじみ。
おごちそうさまでした !!。