KIJI|山田 祐一郎

福岡のフリーヌードルライター、ライターの山田 祐一郎

その一杯が食べたくて

<閉店>

呼吸をするように、蕎麦を食べた。

SHOP NAME: 「

達磨 雪花山房

」 / TYPE:

その日が迫っている。
5月、ゴールデンウィークをもって、
伝説の蕎麦店が一旦、その歴史に幕をおろす。

達磨 雪花山房 (だるま せっかさんぼう)。
おそらく日本一有名な蕎麦の店であり、
蕎麦の業界では知らない人がいないと思う。
その歴史について書き出すと、途方もないので割愛するが、
(詳しくは柴田書店「そばうどん2014」の巻頭特集を参照ください)
日本一の腕を持っているとされている人物・高橋邦弘さんの店だ。
広島の店に区切りをつけた後、
高橋さんは豊後高田に移住することになっており、
蕎麦打ちの教室を開くことは決まっているものの、
もしかしたら、店舗としての営業はしない、かもしれない。
よって、伝説の蕎麦を食べるのもラストチャンス!?かもしれない。
というわけで、2月某日、広島に向かった。

その生ける伝説とも言える蕎麦は、
食べるのに中々高いハードルがある。
まず遠い。JR広島駅から車で約1時間半。
ひたすら山道を突き進んでいく。
道中は清らかな川が流れていて、
ああ、水の美味しいところなのか、と感じた。
そして多分、アクセス方法が車しかない。
(バス停もあったが、多分、きっと本数は少ないように思う)
極めつけが、限定300人分の蕎麦。
何しろ、全国に名が知れ渡った名店なので、
僕のように県外から訪れる人も少なくない。
だから、11時のオープンだが、呑気に11時に着いているようではアウト。
10時でも遅いと言われた。
(実際、10時だと食べられてなかったと思う)
しかももう間もなくこの蕎麦が食べられなくなるかもしれないということで、
それはもう、すごいことになっている。
僕らは博多からだし、食べられないなんてことになったら、
本当に発狂してしまいそうだったので、
9時に着くように向かった。

前置きがかなり長くなったが、
結局8:30に店には着いたが、なんとそれでも12番目・・・
カウントするとザッと30数人目である。
恐るべし、蕎麦愛。

ということで早く着いたので、周りを散策した。
周りに何もなく、鳥の声が聞こえる森の中という感じ。
シカとか、タヌキとか出てきそう。
建物の周辺には枯山水がきちんとあつらえてあり、
料亭のような風情がある。
照明、建物の梁、建築様式、どれをとっても素晴らしく、
もう、それだけで気分が高揚しまくった。

9時を過ぎた頃に名前が呼ばれ出した。
そう、11時のオープンではあるが、
9時くらいから店に入ることができ、
それこそ名簿に最初に名前を書いた人は
10時前に蕎麦を食べ終え、帰路につくことができるのだ。
後輩の愛車が火を噴いたおかげで、
8時半に店に辿り着いていた僕らは、
なんと幸運にも10時くらいに食べ始められた。
本当にラッキー!!
負け惜しみじゃないけど、
店内にある待合スペースもすっごくカッコイイから、
そこも体験してほしいな、とも思う。

あえて前後させるが、食後、厨房を覗かせてもらい、
高橋さんの仕事をこの目で見た。
淡々と、大きな動作もなく、
なんというか途中でみた小川のせせらぎのような
静かなものを感じた。
そば打ちをしたことがない僕の目にも、
その所作に無駄がなく、
見るものの心を動かす何かがあるように映ったのだから、
そば打ちの経験者、お店の方なら、
それはもうため息モノなんじゃなかろうか。
本当なら麺棒さばきも見たかったな。

実際の蕎麦は風味が涼しい感じがした。
清らかで、凛としている。
メニューにもりそば(1枚750円)しかないという、
潔さもそんな印象の後押しをしているのかもしれないが、
とにかく、空気が違った。
大袈裟なんかじゃなく、これはモノが違う。そう思った。

口あたりの良さ、そして程よい弾力。
しなやかに唇を滑り、吸い込むたびに蕎麦の風味が鼻を抜ける。
呼吸をするように、蕎麦を食べた。
つゆは清らか、上品、残らない感じ。
高橋さん曰く「そばの引き立て役でも、生かすでもなく、
邪魔にならないつゆ」を目指しているという。
カツオの風味の打ち出しの強さがありつつ、
すーっと消える。
くどさ、もったりした感じがない。
その日、余韻はずっと続いた。
※現在、高橋さんは大分に拠点を移されています

おごちそうさまでした !!!

SHOP INFORMATION

閉店

達磨 雪花山房

daruma
〒731-1713
広島県山県郡北広島町長笹636-1

電話 0826-83-1116

営業時間 11:00 - 14:00

※現在、大分県に移転

定休日 不定

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