束になったうどんから麺を引き上げる。
ん、んん? まだかまだかとその先端を待つも、
なかなかそれが現れない。
実際どれくらいなんだろうか。70cmくらいは優にある。
福岡ではそれほど長い麺を提供しているところがないので、
かなりの衝撃を受けた。そして思わずにやけてしまう。
麺を途中で噛み切って食べるのを良しとしないぼくは、
たぐっていた二本のうちのうどん一本を箸で持ち直し、
咀嚼してみれば、幅5mm厚み3mmくらいの麺は、
力強すぎない、それは力んでないと表現したくなるような、絶妙の塩梅だった。
ぼくの知っているさぬきうどんの名店は、頑なにコシだけを押してこない。
勝手なイメージでさぬき=コシという感じだけど、
硬いのとコシがあるのは違って、
噛んでいて心地よさはあれど、顎だけが疲弊するようなことがなく、
そんな良い感じのコシが、円清さんのうどんにはあった。
「手打ちうどん 円清」さんは4月にオープンしたばかり。
その経緯などはこちらやこちらに書いてあるので要チェックということで、
そんな埼玉の人気店の福岡移転の理由はわからないけど、
美味しい店が増えることは切磋琢磨という意味で良い影響があると思う。
信頼している方のインスタグラムに、店主は惜しまれつつ無くなってしまった
讃岐の名店で修業を積んだ方なのだそうで、
それで武蔵野うどん特有のごつごつとした力強く太い麺ではなく、
シュッとした美しい麺だったのかと納得。
注文したのは、看板メニュー的な位置付けの「つけうどん系」の中から、
「肉汁おろしざるうどん」。
一本をつまみあげて、肉汁へとざぶん。
この肉汁は煮干しのみで出汁をとっているそうで、
たぶんそれも福岡では稀有。というかそういう店をぼくは他に知らない。
肉は割とたっぷりめで、おろしのさっぱり感が良い。
煮干し出汁というとえぐみなどがあるのかもと思っていたら、
これが麺同様にとても上品な印象で、再び大いに驚かされた。
かえし合わせなのだろうか、醤油による塩分の角の取れている感じが、
なんとなく熟成を連想させた。
麺を食べ終えると、もう一つのお楽しみがある。
提供時に徳利にて蕎麦湯的な生姜入りの出汁が添えてあり、
これを残った肉汁へ注ぐ。
煮干しの存在感が引き立つとともに、
生姜のすっきり感も相まって肉の旨味を再認識。
これで750円は結構お得だと思う。
茹でたてを出すため、茹で時間が釜揚げで10分、ざるで13分ほど掛かるとのこと。
来店の際には、ぜひとも時間に余裕を持って。
おごちそうさまでした !!。