












街道が整備されて以来、峠には古くから茶屋があり、
道中の疲れを癒す場所として親しまれてきた。
そんな茶屋のことを思い浮かべながらうどんを啜った。
三瀬峠に美味しいうどんの店があると深町健二郎さんを通して知り、
さらには知人のデザイナーさんからも良い店だと聞き、
この「うどん ひとつ堂」に縁を感じた。
国道263号線を福岡市内から三瀬峠へと向かう。
海が糸島や福津なら、山は脊振や三瀬。
そんな人気のドライブルートとして知られる三瀬峠の途中、
「鳥飼豆腐」さんの敷地内に店を構えている。
ご自身が惚れ込んだ佐賀の名店から麺づくりを学んだ店主は、
その麺に合う出汁を完成させ、2017年12月にここを開業したそうだ。
佐賀の名店とは元々は蕎麦で知られ、ただし、うどんも絶品だという話は聞いていて、
それはもう、期待も高まるというものだ。
店は店主1人で営んでいて、かつ茹でたてを出すので、ある程度の待ち時間はかかる。
できたてを食べるのだから当たり前で、
このロケーションでせかせかとするのは、やはり格好がよろしくないとも思う。
どっしりと椅子に腰掛け、のんびりとうどんを待つ。
ちなみにカウンターのほか、共有スペースにあるテーブルでも食事が楽しめる仕組み。
テーブルの場合はお冷などがセルフサービスになるとのこと。
丸一日熟成させた麺はつるんと滑らかな食感ながら、
つるつると滑るだけではなく、ほどよく唇に抵抗を与える。
割と細めにあたるのだが、その細さも上品に変換される仕上がり。
むにーんとひきがあり、とても表情豊か。
出汁はうま味調味料に頼らず、焼きあごを主体に、
節類を織り交ぜてとっていて、小さな子供連れでも嬉しい。
ドライブの途中におすすめ!という言葉で終わらせるにはもったいない。
ドライブのほうがついで。そんなうどんだった。
おごちそうさまでした !!。